2007年06月20日
■ オペの説明 ■
やりたいかやりたくないか聞かれたら・・・やりたくないオペである。
気管のオペを専門に行なう、小児外科の教授である執刀医のK先生は言いました。
気管のオペはとても難しい。いつもいつもK先生は言います。
ましてや、とても過敏で酷い喘息のあるいっちに対してそれを行なうのはとても恐ろしい事だそうです。
血管やなんやかんや人間の体には何本もあるけれど、気管はたった1本しか無い。代わりが出来るものが無い。そして、その呼吸を止める事は出来ない。ましてや、いっちはカニューレより下の気管に対して行われるオペ。呼吸をさせながら行なわれる処置なので。
レーザーとバルーンのダブルでのオペ。
レーザーオペとだけ聞くと、単に肉芽の処理に行なわれるいとも簡単なオペに感じる。しかし、いっちの狭窄に対して行なわれるのは、とても大変な事となるそう。
いっちのやわらかい、ペラペラとした狭窄部分は、通常の肉芽のようにできものになっているわけではなく、気管にぐるりと一周内側にせり出しているもの。
背中から右側が酷いほうで、その幅は一番大きい部分で3mm程度。そして、左側の一番狭い部分が1mm。
ミリ単位で言うと、なんでそれだけで・・・と思われてしまうかもしれない。しかし、そのペラペラの土台になっている気管の本体は、きっと硬く狭くなっていると思われる。しかし、そこはレーザーでいじる事はとても危険である。
なので、ペラペラとした狭窄部分だけの処理となる。
しかし・・・その狭窄部分というのはかなり狭い。ほんのわずか・・・数値ではわかりかねるのだけれど、かなり狭いらしい。
いっちの今使っているカニューレは内径3.5mm。それよりもかなり狭いので、閉塞時はかなりのものだと思う。
そして、そのやりたくないという理由の一つに、この狭いミリ単位のオペという事がまずある。
オペは、気管支鏡を挿入し、その脇からレーザーを挿入し、その狭窄部分をまずは焼く。
しかし、1回で焼くのは1mm。焼いた後にその周りの組織も壊死するので、一番大きい背中側から右側の狭窄部分を数度にわたって焼く。
想像してみてください。たとえば、内径3.5mmのカニューレの内部で、その処理が行なわれるという事を。勿論、カニューレの内部で行なわれるのでは無く、いっちの素の気管内で行われるのだけれど。けれど、オペする状況はそんなスペースしか無いのです。
そして、1mmを焼く。簡単に思えるかもしれないけれど、呼吸をしている状態の中それが行なわれるのです。人間、呼吸により簡単に体は動きます。勿論、気管は呼吸のお仕事をしているので、大きく揺らぎます。ましてや、そのペラペラとした狭窄部分は、呼吸の度に大きく揺れます。その中で、1mmの狂いも無くレーザーを当てるのは、かなり難しい事となります。
そして、それが上手くいったところで、通常食道の狭窄のオペなどに使われる、バルーンの処理を行います。ペラペラに穴が空いた狭窄部分を、バルーンでグッと広げるのです。
バルーンは、書いたように食道に使われる事が多いです。気管に使われるのは少ない。何故かというと、一つは、バルーンを広げて圧迫するという事は、呼吸が出来なくなるという事だからです。
そして、食道のオペでは、食道の形態が崩れそうになるほど、ヒビが入るほど広げるそうです。そうでなくては効果が無い。それを気管に行なうという事はとても危険。気管の形成が崩れてしまうという事が大きく考えられるから。
そして、その処置が食道に行なわれたとしても、反射でまた狭くなってきてしまう事が殆どだそう。一時しのぐだけ。繰り返し行なわなければならなくなる。ましてや気管に行なったら、その反射は強いものだと思われる。
それがいっちの気管に使われるとなると、喘息を持ち、とても過敏である気管に行われるというと、その反射というのはかなり凄い事になりそうなのです。
勿論、その後直ぐに、その狭窄部分の反射を避ける為、チューブが挿入されます。探しに探して、なんとかいっちの気管の太さにあい、長さの調節が効くカニューレが見つかったのだけれど、気管を痛めない為オールシリコン製となるので、もしかしたら挿入が難しいかもしれないそうです。そうなったら、気切孔にレティナを入れ、鼻からその後ろ側に挿管チューブを入れる事となります。
もし、鼻からになるのならば、ある程度の時期眠らせる事となります。
最初話しが出た時は、最低2~3週間眠らせ、IVHを置いて高カロリーの栄養を注入して・・・との話しだったのだけれど、いっちの状況を見て起こす事となるそうです。ただ、ある程度眠らせておかないと、挿管チューブは硬いので、その下にまた狭窄が出来てしまうと危ない。かといって、赤ちゃんや大人ならばまだわかるけれど、いっちのような呼吸障害がある3歳児の体を眠らせておく・・・というのは、かなりのリスクを伴う。肺の問題、筋力低下による呼吸の問題・・・等等。長ければ長くなるほど、他の臓器の問題も勿論でてくるのですが。
飛行機は落ちてしまう事がある。絶対に安全ですとは言えない。そして、もし危険そうだと思うならば、引き返す事も可能性としては大きくあるそう。
そして・・・たとえこのオペを行なったからとしても・・・解決して退院できるとは限らない。
けれど・・・今のままではいつか窒息死してしまう。毎晩毎晩、「いつつまってしまうのか・・・」という思いでいるだけとなる。そして、何より本人が苦しい。
「お風呂に入って試してみて」・・・K先生が言いました。
お風呂にもぐり、ホースで呼吸してみる。そして、その後ストローで呼吸してみる。どれだけパニックに陥るか。いっちの今の状況を。しかも、いっちは過敏な気管である為、とても痰が多い。その細い細いストローが簡単につまってしまうのだから。
そして、何よりこのオペは、時間をかけられない事。ゆっくり慎重に・・・なんてしていられない。
いっちの気管は、少し触れてしまうだけで、過敏に反応してむくんでしまいます。ゆっくり行なえば行なうほど、そのむくむ危険性は高くなる。いじりすぎてはいけないのです。急いで慎重に1mmの処理を繰り返さなくてはならない。
そして、一番怖いのは、最初のレーザーの一ミリを焼いた時。レーザーは熱処理なので反射が起こるのですが、いっちの場合はその反射はかなりのものと予想されます。「ボン!」といきなりむくんでしまうかもしれない。そうなったならば、もう引き返すしか無いそうです。
そして、もし1mmずれてしまった時。起こりうるのは「大出血」です。
たとえば大人での腫瘍切除などの場合、かなりえぐるので大出血をおこす事があるそう。小児の場合はそこまで行なう事が殆ど無いので、今まで病院内で起こった事は無いのだけれど、リスクは十分あるそうです。
それと、気管が破れてしまう事。それもありえなく無いそうです。そうなった場合、そこに穴を開けて管を通し、空気を抜くそうです。
先日写したCTも見せてもらいました。
どの部分から見ても、その狭窄部分は狭くなっています。カニューレよりもずっと細く。今入っているカニューレより程1cm下の部分、そして気管支の分かれ目からは2cm程の距離です。そして、気管全体が分厚くはれぼったくなってしまっています。ステロイドの使用状況もあるけれど、通常からそういう気管になってしまっているらしいです。
オペ後はどんなチューブが入るにしろ、狭窄部分より1cm下まで。気管支の分かれ目からは1cm程度になります。分かれ目から最低1cmは必要になるので、ほんとギリギリの場所です。
教授からの話しは1時間程にもなりました。そして、その後、主治医から一番最近の気管支鏡の写真を見せてもらいました。私はいつもチェックさせてもらっているのだけれど、パパはなかなかそういう機会が無かったから。それを見た方が想像もつきやすいと思うから・・・と。
映像を見ながら、あれこれお話も聞きました。
もう一つの問題がある事を改めて聞きました。
脈です。
いっちは状況により、徐脈がでてしまうのだけれど、それ以外にもお腹の中にいた頃からある症状があります。「期外収縮」です。ようは、脈が飛んでしまうんです。
だからといって、悪さをしている訳では無く、調べると心臓に穴が空いている感じも無く、心ブロックでも無さそうなので、通常はそれほど意識していないのだけれど。ただ、やはり麻酔の時にはおかしくなるそうで。普段の気管支鏡の時などはその後それ程問題にはならないのだけれど、今回のように手を加えるとなると危険度も増す。
そのまま心臓が走り出してしまったり、ゆっくりになってしまうと危険。なので、その経過もかなり注意してみていくそうです。そして、オペ後はしばらく心電図ははずさず。小児科にもきてもらい経過を診ていくそう。
あれこれドッっと頭に上がってしまい、なかなかわかりやすく書けないのだけれど。とりあえず、これが金曜日、いっちに行なわれるオペの内容です。
危険だから何もせずに・・・と、たとえ引き返す状況となったとしても、色々な準備があるので最低2時間はかかるそうです。なので、処置を入れたら3時間かな?もう少しかな?
今日も苦しそうだったいっち。とにかく今の状況でそのままで・・・なんていうのは無理とはわかっています。上手く行く事を願いながら望むしかもう無い。
そして、もしこれが難しいようだったら、また何か策を考えますとの事。そうならない事、今回で上手く行く事を願うけれど、あれだけ「難しい・・・」と繰り返していたK先生。その難しさは十分受け止めたつもりです。それでも、数少ない気管のオペを行える先生。先生にお願いするしかない。そして、私達親は祈るしか無い。
明日から点滴が入るいっち。今夜無事に乗り越えてくれているといいな・・・。
いったんママ : 2007年06月20日 23:00
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